
毎月のフリーペーパー
「GREEN MESSAGE」
ステハがオープン当初からご縁あってお取引させて頂いている千葉は佐倉の林農園さん。
有機農家の草分けとしてこの世界を切りひらいて来た方です。毎週今採れた野菜を「野菜セット」として詰め合わせて送って頂いております。有機農家直送の野菜のほとんどはお客が野菜を選べない、いわゆるおまかせスタイルなんです。
自然栽培をはじめオーガニック野菜を育てるのは、土壌をいかに良い状態に保つかというのがメインワークと言われています。だって化学肥料や生育を過剰促進させるものを蒔かずに年中野菜を育てるんだから、それは時期や種類、作付けバランスなど考えて管理する必要があります。なので玉ねぎばっかり大量に注文があるから、そればかり植えるわけにもいきません。そんな背景を理解してくれるお客さんだけに送ってもらえるのです。
今回は野菜と一緒に送って頂いている「GREEN MESSAGE」という畑の状態や収穫の見通しなどが書かれたフリーペーパー的なものを、皆さんにご紹介しようというものです。しかも今回はまさに「土づくり」でなかなか貴重な情報だと思ったので、全文紙の情報を書き起こしでお知らせいたします!
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有機農業で一番大切なことは土づくりです。たい肥を入れることで作物が健全に育ち、病気や害虫に強くなります。たい肥の中にはたくさんの微生物がいます。1g当たり数億匹いるといわれています。この微生物の中には植物にとって悪性のものありますが、数が増えることでバランスがとれ、植物が成長することに大いに役立っています。例えば、作物が土の中の栄養を吸収しやすくしたり、病気を防いだりしています。
3年程前に東京大学の栽培研究室で、林農園のたい肥や土壌の微生物の種類や数を調査してもらったところ、その多さに驚いていました。慣行農業の土壌や市販のたい肥とは全く違うということでした。植物の栄養素に窒素(N)リン酸(P)カリ(K)の三大要素があります。窒素は主に枝葉に、リンは実に、カリは根に吸収されると言われています。ホームセンターなどで売られている化学肥料の袋に記載されている成分は、その数値によって葉物、果実、根ものに向くのがわかるのです。その他、カルシウム、マグネシウム、を加えて五要素と言われています。しかしそれ以外に少量だけど不足すると健全に育たない微量要素があります。鉄、イオウ、モリブデン、アルミニウムなど10種類程あります。人間に当てはめると炭水化物、タンパク質、脂質が三大栄養素になります。それ以外にミネラル、ビタミン、など微量要素です。
1603年、徳川家康が江戸に幕府を開き、人口が増加していきました。当時殿様など身分の高い人は白米を、庶民は玄米を食べていましたが、人口が増えるにつれて庶民が玄米を食べ続けると、それを炊くのに使う「薪の量」が足らなくなるという理由で、なんと庶民も白米を食べていいことになったそうです。庶民の食事は玄米と汁物と漬物くらいでしたが、玄米からミネラル、ビタミンといった微量栄養素を採っていたのです。しかし、白米だけではビタミンB1がないため脚気になってしまいました。ところが地方に行くと脚気が治ってしまう。地方は依然として玄米を食べ続けていたんです。そこで、江戸に行くと脚気になるので「江戸わずらい」と呼ばれていました。
またたい肥はPH(酸性度)でみると中性です。もともと日本の土壌は火山灰が多く含まれ酸性土壌ですが、車の排気ガスや工場の排煙が土に降り、より酸性土壌になり、化学肥料も酸性なんです。作物には酸性土壌を好むもの品目もありますが、多くは中性を好みます。そこで石灰を蒔いてPHを調整する必要があるんです。石灰は天然物なので有機農業でも使用が認められていますが、使いすぎると土が固くなり、根の張りが悪くなります。つまり、たい肥を使えば石灰は使う必要がなくなるのです。
化学肥料には窒素、リン酸、カリの三大栄養素ないし、カルシウム、マグネシウムの五栄養素しか含まれていません。つまり堆肥は偏った化学肥料と違って総合肥料と言えます。高速道路の中央分離帯に植物が植えられていますが、化学肥料で育てると車の排気ガスで枯れてしまいます。そこで、土手の草を刈って堆肥にして与えることで枯れずに健全に育っています。
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いかがでしたでしょうか。う~んと唸ってしまいました。我々の好きなものにワインと温泉がありますが、正に土壌と深く関わっており鉱物(ミネラル)が雨水を浄化し様々な成分が水に溶け込み、そこに根を張る植物がそのエッセンスを持ち合わせる。そして人間の体のほとんどは水でできています。自然の摂理を知れば、そして玄米を食べていれば、健康でいられるんですね。
高速道路の植物にはあえて自然の堆肥を与えているなんで、意外ですね!来月号に続きが掲載されると思いますので、お楽しみに!