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SHIMOKITAZAWA
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連休日記~雪見の温泉群馬編~

川原湯温泉@やんばダム

ちょい雪

豪雪地帯

いい色してますよ!

水萌えそば、水つけて食べる

あれは2020年の冬に雪の露天風呂に入って熱燗なんていいよなぁと、つぶやいていたら車のタイヤをスタッドレスに履き替えれば行けるんじゃん?という話になり、「履き替えてみるか!」となり、いそいそとイエローハットに行って買ってから、毎年雪のある温泉地を探して行く習慣ができた。

しかしながらだんだん、そもそも行く予定もないのに今年は履き替えるか、否かを話し合い、折角だからどっかに行こう。庭に放置したタイヤも半年に一回くらい出したほうが劣化しないだろうという話になり、今年もGoogleMapで標高の高い緑のエリアにピン打ちした温泉はないかを確認し、マニアのサイトに取り上げられている、所謂かけ流し温泉でなければならないというハードルを越えた湯にまたもや白羽の矢が立った。群馬と長野の県境(大抵温泉は峠付近に集中している)に鹿沢温泉という聞きなれない温泉がある。

調べてみると、軽井沢や草津もまぁまぁ近いけど、内陸のあまり行かないエリア。長野は中央道経由と関越経由のルートがあるが、立ち寄り湯も考慮して、行きは関越経由に決定。今回の立ち寄り湯は政治的にすったもんだあったあの八ッ場(やんば)ダムのほとりにある川原湯温泉。近くを流れる吾妻川は八ッ場ダムからながれ、四万温泉の四万ブルーを彷彿させる濃いめのエメラルドブルー、鉱物が影響しているのだろう。雪の残る山肌に美しいコントラスト、川原湯は程よい硫黄の香る硫酸塩泉で上質湯。近くにあったら通いたい。

そして、今回の目的地、鹿沢温泉は紅葉館一軒を残すのみとなった秘境。マグネシウムや鉄を感じるレア泉で建屋は5代目主人が新しくしたものの、明治2年のままという年代物で壁に施された彫刻はヨーロッパのそれを思われる異空間、客人は我々と湯治の老夫婦のみ。主人が作る料理は意外にも美味しく、秘湯にはよくある家族経営。

周りの山々には雪が残り、雪見温泉の風情は味わえたが、物質的にスタッドレスタイヤが必要だったかというとアスファルトには雪はなく、鹿沢温泉は内湯のみで壁の彫刻を眺めていただけに、本来の目的が果たせたか問題は「まぁ、行ってみないとわからんよね」で終わった。

しかしながらこの温泉という資源の価値に気づいた人間たちが、その源泉を守るために何代もの間、その湯を求めてくる客人を迎い入れ、それを生業に生きていっているんだと思うと天を仰いでしまう我々。
日本の温泉行脚は普通の観光客の視点ではなく、移住候補地というお題目を常に持って見ているので一味も二味も違った旅になる。ちょうどそれは世界のカフェをただ利用していただけではなく、自分のつくるカフェとシンパシィを感じるか、アイデアを頂戴するかと思いを巡らしていたあの頃と似ている。それは経営者目線というもので、その気がなければ味わえないものでもある。

そんなわけで、我々の、ステハの冬が終わった。三寒四温、南から暖かい風が吹き込んでくる春はもうそこまで来ている。個人的には一番好きな季節、長い冬を乗り越え、耐えしのいだ時間から躍動が始まる前のひととき。期待感というのか、これから「はじまる」というポジショニングがいい。
いつも下北沢でお待ちしています。