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SHIMOKITAZAWA
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新連載!マスターの旅話vol.2 マカオ編(1986年)

これが、デカ牌!

 

僕は山本益博と浅田次郎とロバートハリスに少し憧れのある、煩悩をどうして振り払ったらいいか悩む刹那的快楽主義者なんですが、その稀に見る旺盛な好奇心、20才の頃マカオをふらついてた時の話をします。

あの麻雀のデカハイを攻略したいという願望が心のどこかで渦巻き、マカオに渡るや否や路地裏の妖しい一角をうろついてはもしやもしやと探索していると、ありました!ありました。
有象無象の溜まり場とは正にこういう所をいうんだよなぁ~とマネーベルトをグイッと腹に食い込ませ、軍資金をあらかじめ数枚ポケットに忍ばせて、更に宿に帰れるお金を靴下の中に隠し、ボコボコに殴られた時のことを想像しながらジェスチャーで俺もできるか?とそこの主人らしきオヤジに聞いてみた。

すると、「おや珍しい」といった表情で「OK、OK」とそれまで打っていた奴をどかして場所を空けてくれた。海外で日本人が歓待される時の99%は金目的だってことくらい百も承知で座り込んだ。早速レートを説明され、これならよほどの負けでない限り支払い可能とやや安心するも、サイが投げられ勝負が始まると張り詰めた緊張感が背筋に感じられた。ルールは大方チベットで習得していたが、この広い中国いや、ここはマカオか!?やばい!ルール違うかも?と気づいたがもう遅い。淡々とゲームは進み早聴(ハヤテン 早く手をつくる事)に必死にしがみつきテンパイ、やっと回りが見えてきた。

すると、いつの間にか野次馬が後ろにたくさんいるじゃあ~りませんか。
ヤバイ!通し(暗号で当たり牌を知らせる事)やられてるかもしれない。いまさら伏せ牌しても遅いし、と考えるも対面から当たり牌が出てロン。焦りに焦っていたが考え過ぎ、野次馬の表情を見るとみんな優しい笑顔で喜んでいる。そうか、日本人が珍しく打ちに来たから見てるだけか、、、。

絶体絶命の危機から立ち直って半チャンが終わる頃に20000のプラスでトップ。逃げ切りと思っていると1チャンやるみたいで、しかも了解もなく選手交代! 
ナニ~、そんなのありか。
変わって座ったのは30代のサングラスをかけた渡世人風。
マジすか?と心の中でつぶやくもB級Vシネマのシナリオが脳裏をかすめ、牌を握る手も震え気味。サイが投げられるや否や、3順目にその兄さんはツモりました。ちょっと笑っちゃいました。出来すぎてる。やっぱりナメてた、世間をいや中国をいやマカオ、だった。
どうしたら凌げるのか必死に考えてとにかく振らないことだ。ツモられ貧乏でも原点キープできる。しかしフリテンOKの麻雀でどう凌ぐ?

勝負勝負、運にまかせて打つしかないと気持ちを切り替え、ラスト2局を臨んだ。いままで逃げ腰で打っていたせいか、手づくりしだすと意外に早くテンパイがやってきた。暗刻の8ソウをツモりカンしてリーチすると、一斉にドヨメキが起こった。何が何だか判らないままそれから4巡目に見事ツモ、すると大歓声が起こり、みんな「やられた~」みたいな顔して何やら点棒をたくさん場に投げ込んできた。

聞いてみればここのルールでは「8」はラッキーな数で特にソウズの暗カンであがると役満扱いなのだそうだ。そもそも「八」というのは末広がり、中国では特別なんだ!流石に渡世人風も仕方ないといった風でオーラスを向え、あっけなく安手であがりゲームセット。勝ったのだ!

麻雀放浪記さながらのマカオ場末賭博場でのひと幕でありました。
今の若い人は麻雀なんて馴染みがないでしょうが、皆さんはくれぐれも真似しないように、ケツの毛まで抜かれてしまうことも大いにありますので、、。