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SHIMOKITAZAWA
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アメリカ旅~皆既日食編~

昨日ステハで旅の報告会を開催しました。長々と写真を見せながら二人のトーク付きの会で、盛況の内に終えることができました。参加頂いた皆さまどうもありがとうございました!
写真の整理やら、報告会の準備やらでなかなかブログでの報告が進んでませんが、報告会を終えてやっと今回の旅が終わり日常に戻った感じです。あと2~3回にわけて旅のブログを書いていきますので、どうぞお付き合いくださいませ。今回は旅のメインイベント、日食編です!

 

皆既日食とは太陽と月が完全に(100%)重なって太陽が隠される現象を言う。
それはほぼ毎年世界のどこかで起きているが、人が普通に大陸の上で見られるのは2~3年に一度である。当然ながら、雲が太陽にかかってしまえば見ることはできない。でも一度でも体験してしまった人にとって、見れるか見れないか最後までわからないこの現象を見る為に何十万というお金をかけて休みをとり、世界のどこかに旅立ち、期待と不安を胸にこの時を迎える。そして晴れるという重要な要素を重視するあまり、乾燥した過酷な環境を見る場所に選ぶ。我々はもう今年で18年という長い間エクリプス(日食)を追いかけ続け、これからもずっと、たぶん死ぬまで追いかけ続けるだろう。

今回で8回目(サチは7回目)になる日食はアメリカを横断し、皆既帯はアメリカだけを通過する一カ国でしか見られない日食となった。日食は未来永劫見れる場所と日付が決まっているので我々が結婚した14年前のある日、この日がサチの40回目の誕生日にあたることを知り、ここを訪れることを決めた。

アメリカは3億人の人が暮らす先進国であり、人類が同時に同じ日食を見る機会としては過去に例がないほど多くの人が日食を体験することとなった。皆既日食を見るために開催されたフェスティバル会場には3万人を超えるオーディエンスが集まり、その時を待った。写真の最初にある車の渋滞は至近の街プラインヴィル(5km程度)からはじまり、エントランスに着くまでに9時間を要する事態になり世界のTOP NEWSになったほどだと聞いている。

しかし、通常であれば苦痛でしかないこの渋滞は参加者にとってそれほどキツい時間ではなかった。車の外は絶景、待っている間もすでにパーティははじまっていた。同じ目的を共有した人々は陽気にその時間をも楽しんだ。特にアメリカ人の脳天気とも思えるポジティブな性格は全てをまるでディズニーランドのごとくパフォーマンスに変えてしまった。

会場は乾燥しているがゆえ、砂埃が四六時中舞い、マスクは手放せない。アメリカの中央平原とはいえどうにか平地にしたテントサイトは地面の亀裂やゴロゴロとした石が点在し、テントの中で溝にハマるように寝るしかなかった。夏とはいえ最低気温5度、最高気温35度という1日に30℃以上の気温差があり体調管理は難しい。そんな場所に1週間も滞在し、キャンプ生活をおくる。なかなかのハードコアな旅である。ここまでお伝えした段階で、なんでそこまでしてと疑問を投げかけられるでしょう。

でも、それでも見たいと思わせてしまうのが皆既日食という代物なんです。黒い月に太陽のフレアが輝く写真が日食です。普通のカメラや携帯では撮るのは難しく、自分の撮った写真はとてもお見せできるものではなかったので、友人から拝借したものです。更に肉眼で見る日食はこんな黒と白の世界ではなく、ブルーがかったサファイア、いやオレンジ、まるで宝石のように美しく、誰も写真でリアルなその姿を収めることはできないのが日食です。なので、写真に収めることよりも、なるべく肉眼で見ておこう、ということになるわけです。

もう8回も見ていれば冷静に見れると思いきや、その瞬間はやはり慌てふためき、ただただ呆然と立ち尽くすのがやっとでした。多くの人は知らぬ間に目から涙を流し、絶叫し、号泣し、歓喜するのです。何万人の人が同じ瞬間を共有する一体感は鳥肌が立つほど素晴らしい体験です。もはや言葉ではこれ以上説明できません。

我々が報告できることがあるとすれば、行かなければわからないということだけです。
See you under the RING !